肝臓
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経皮的エタノール注入療法 (PEIT) 後に腹腔内リンパ節転移をきたした小肝細胞癌の1例
木村 公則植松 孝広野田 直宏内木 隆文斎尾 征直武藤 泰敏森脇 久隆
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1998 年 39 巻 3 号 p. 187-192

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抄録

症例は59歳, 男性. 肝硬変 (HCV陽性) で外来通院中, 急性胆 炎のため平成7年4月当科入院. 腹部超音波検査により, S6の肝表面に15×11mmのhypoechoic lesionを認め, dynamic CTにより肝細胞癌 (HCC) と診断した. 経皮的エタノール注入療法 (PEIT) を計4回 (計7.5ml) 施行し, 以後外来で経過観察していたが, AFP, CEAの上昇がみられたため精査目的で平成7年10月に再入院. 腹部CTで腹腔内リンパ節の腫脹が認められ, 放射線治療を施行するも腎不全にて平成8年1月死亡. 剖検所見より, HCCの原発部分はPEITにより完全に凝固壊死していたが, 穿刺部位の横隔膜のリンパ管には腫瘍塞栓が多数認められ, 全身のリンパ管にも同様に腫瘍塞栓がみられた. 以上の所見よりPEIT穿刺部位からのリンパ行性転移が示唆された.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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