1998 年 39 巻 8 号 p. 539-544
症例は67歳, 女性. 平成8年9月初旬より全身倦怠感が出現し, 肝障害を指摘され増悪したため平成8年10月23日当科入院. 非A非B非C型劇症肝炎亜急性型と診断され, 血漿交換, インターフェロン投与などを行うも効なく11月19日肝不全にて死亡. 剖検では亜広範性肝壊死の所見であった. 本例の10月27日の血清を用いてG型肝炎ウイルスRNAの検索を4種類の異なるprimerによるPCR法で行ったところ2種類で陰性, 2種類で陽性と検出結果が異なった. そこで本ウイルスの全塩基配列を決定したところプロトタイプウイルスと大きく異なりホモロジーは約80%であることが判明した. G型肝炎ウイルスRNAが検出されなかった測定法のprimer部分で塩基配列が異なっており, PCR反応が起こらずRNAが検出されなかったものと思われた. 本例で検出されたG型肝炎ウイルスはこれまでのタイプとは異なる第4のサブタイプである可能性が考えられた.