肝臓
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メトトレキセートによる中毒性肝障害に伴って門脈圧亢進症を呈した小児急性リンパ性白血病の1例
大沼 健見虻川 大樹今泉 益栄
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1998 年 39 巻 8 号 p. 545-550

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抄録

化学療法中に門脈圧亢進症を合併した急性リンパ性白血病 (ALL) の男児例を経験した. 症例は8歳時にALLを発症し寛解導入後, 外来にてメトトレキセート (MTX) および6-メルカプトプリン経口投与による維持療法を約3年間続けた. 12歳時骨髄再発のため再入院した際, 腹痛に対して施行した上部消化管内視鏡検査にて食道静脈瘤の合併が判明した. 肝生検では壊死炎症所見, 小葉改築傾向と末梢門脈枝の潰れ, 肝細胞のdysplastic changeを認めた. 肝障害の原因としてウイルス性肝炎の関与は否定的であり, 肝組織所見から維持療法に用いたMTXよる中毒性肝障害の関与が考えられた. 小児ALLに対する化学療法において, MTXの肝毒性, および肝線維症に起因する門脈圧亢進症について注意を払う必要がある.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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