抄録
症例1は60歳, 女性. 1995年10月肝機能異常を指摘され, 1996年3月当科受診時, AST66IU/l, ALT102IU/l, γ-gl2.5g/dl, IgG2740mg/dlであった. 症例2は60歳, 男性. 1987年より肝障害の増悪, 寛解を繰り返し, 1996年11月当科受診時, AST192IU/l, ALT216IU/l, γ-gl2.6g/dl, IgG3190mg/dlであった. 症例1, 2とも抗核抗体 (ANA), 肝腎マイクロゾーム (LKM) -1抗体, 可溶性肝蛋白 (SLA) 抗体はいずれも陰性で, 抗平滑筋抗体 (SMA) が陽性であった. 肝炎ウイルスマーカーは陰性, HLADR4陽性であり, 肝生検組織は自己免疫性肝炎 (AIH) に一致する所見であった. 症例1は副腎皮質ステロイドが著効し, 症例2はウルソデオキシコール酸投与により寛解を維持した. AIH非典型例の診断には, SMAを含む各種自己抗体の検索が必要と考えられた.