1999 年 40 巻 4 号 p. 217-226
急性肝不全モデルに対する糖質コルチコイド治療の有効性, 機序, 臨床応用の可能性について検討した. Wistar系雄性ラットにD-galactosamine 200mg/kg, lipopolysaccharide 10μg/kgを経門脈的に投与し肝不全モデルを作成し, 治療薬としてmethylprednisolone (20mg/kg) を投与した. 未治療群ではtumor necrosis factor α (TNF-α), interleukin-8の上昇, 肝細胞アポトーシスをそれぞれ3, 6, 12時間をピークとして認め, 24時間後に広汎肝細胞死を認めた. 同時治療群ではTNF-αの上昇が有意 (P<0.05) に抑制され, アポトーシス, 肝障害も抑制された. しかし, 3時間後に治療開始した群では明らかな肝障害の抑制は認められず, 広汎肝細胞死も抑制し得なかった. 以上の結果から, 糖質コルチコイドの臨床応用にあたっては急性期に限定して使用すべきと考えられた.