肝臓
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肝性脳症のない肝硬変における磁気共鳴画像 (MRI) と磁気共鳴分析法 (MRS) の測定意義
藤島 裕耕加藤 章信鈴木 一幸
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1999 年 40 巻 4 号 p. 235-242

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抄録

顕性脳症のない肝硬変30例と健常者5例にMRIとMRSを施行し, 淡蒼球信号強度 (Plindex) とグルタミン, ミオイノシトールの信号強度を測定, さらに肝硬変では肝の重症度, 血液アンモニア, 微量元素 (Mn, Cu, Zn) との関連を検討した. 肝硬変ではミオイノシトールは健常者と比べ有意に低値であり, 一方Pl indexとグルタミンは有意に高値であった. 血液アンモニアとミオイノシトールとは有意の負の相関を, グルタミンとは有意の正の相関を認めた. また肝の重症度の進行に伴いミオイノシトールは有意に減少し, Pl indexは有意に増加し, グルタミンは増加傾向を示した. さらにPl indexはMnと有意の正の相関を示した. 顕性脳症のない肝硬変でも脳内物質代謝異常はすでに存在しMRIとMRSは肝の重症度, 血液アンモニアおよびMnなどを反映することが示唆された.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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