肝臓
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アルコール性肝硬変症におけるTc-99m-GSA肝シンチグラフィ
板野 哲原田 大永松 洋明松垣 諭山崎 三樹田尻 能祥黒木 淳一池尻 直幹神代 龍吉佐田 通夫
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2003 年 44 巻 6 号 p. 290-295

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抄録

肝硬変としては同等の臨床病期である (Child Pugh Score: 7点以下) アルコール性肝硬変15例とウイルス性肝硬変10例に対しTc-99m-GSA肝シンチグラフィを撮像し, 得られた肝機能指標 (LHL 15, Grading score) を2群間で比較検討した. LHL 15はアルコール性肝硬変群: 0.821±0.101, ウイルス性肝硬変群: 0.915±0.024でありアルコール性肝硬変の方が有意に不良であった (p<0.01). Grading score はアルコール性肝硬変で Grade 1:2:3:4:5=2:5:3:4:1例, ウイルス性肝硬変で Grade 1:2=9:1例であり, アルコール性肝硬変の方が有意に不良であった (p<0.01). 以上, アルコール性肝硬変はウイルス性肝硬変に比べアシアロ糖蛋白の肝取込みが有意に低下するという結果であったが, これはアルコール性肝障害に特徴的な肝線維化や肝細胞内の蛋白輸送障害が影響しているものと考えられた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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