肝臓
Online ISSN : 1881-3593
Print ISSN : 0451-4203
ISSN-L : 0451-4203
B型肝炎ウイルスキャリアに発症し肝細胞癌との鑑別に苦慮した孤立性肝結核腫の1例
岡本 欣也植木 賢三村 憲一前田 佳子松永 佳子法正 恵子岡野 淳一前田 直人孝田 雅彦汐田 剛史村脇 義和周防 武昭
著者情報
キーワード: 肝結核腫, B型慢性肝炎
ジャーナル フリー

2003 年 44 巻 9 号 p. 448-454

詳細
抄録

症例は21歳, 男性. 十二指腸球部潰瘍が認められ近医入院. 感染症検査にてHBsAg (+) を指摘され, 腹部エコーを施行したところ, 肝S1に直径5cm大のモザイクパターンを呈する腫瘤が認められ当院紹介入院となった. 腹部CT, 血管造影画像検査では, 濃染性の低い充実性腫瘤として描出された. 胸部CT撮影の結果右肺尖部及び左上肺野に浸潤影が認められ, 肺結核を疑いツベルクリン検査を施行したところ強陽性であった. 肝腫瘤の生検では肝組織内に乾酪壊死, 類上皮細胞が確認され, 肝結核腫と診断. 化学療法を開始したところ, 肺及び肝の病変は縮小した. 肝結核腫は特徴的な臨床症状, 画像所見に乏しく, 肝結核腫が疑われる場合は肝生検を施行することで不必要な開腹術を避けることができ得る.

著者関連情報
© 社団法人 日本肝臓学会
前の記事 次の記事
feedback
Top