2003 年 44 巻 9 号 p. 448-454
症例は21歳, 男性. 十二指腸球部潰瘍が認められ近医入院. 感染症検査にてHBsAg (+) を指摘され, 腹部エコーを施行したところ, 肝S1に直径5cm大のモザイクパターンを呈する腫瘤が認められ当院紹介入院となった. 腹部CT, 血管造影画像検査では, 濃染性の低い充実性腫瘤として描出された. 胸部CT撮影の結果右肺尖部及び左上肺野に浸潤影が認められ, 肺結核を疑いツベルクリン検査を施行したところ強陽性であった. 肝腫瘤の生検では肝組織内に乾酪壊死, 類上皮細胞が確認され, 肝結核腫と診断. 化学療法を開始したところ, 肺及び肝の病変は縮小した. 肝結核腫は特徴的な臨床症状, 画像所見に乏しく, 肝結核腫が疑われる場合は肝生検を施行することで不必要な開腹術を避けることができ得る.