本研究の目的は、異なる人種の顔画像の空間周波数特性を測定し、人種識別における違いを検討することであった。人種はアジア系と欧米系を設定し、AIが作成した顔画像40枚を用いた。評価者は44名の女子大学生(平均20.2歳、SD=1.14)だった。評価者は、顔画像が「アジア系に見える:1」か「欧米系に見える:5」かの印象を5段階リッカート尺度で評価した。顔画像は高速フーリエ変換したあと、5つの空間周波数帯域1~8、9~16、17~50、51~90、91~512 cycle/image-width(c/iw)に分け、平均パワー値を求めた。従属変数を人種の評定値、独立変数を5つ空間周波数帯域の平均パワー値とし、ステップワイズ法による重回帰分析をおこなった。その結果、3つのパワー値が選択され、R2は0.79であった。1~8 c/iwのパワー値が高いほど、9~16 c/iwのパワー値が低いほど、51~90 c/iwのパワー値が高いほど欧米系の顔に評価され、このなかでも 9~16 c/iwのパワー値の影響がもっとも強いことが示された。先行研究ではおおよそ 16 c/iw以下の低い空間周波数帯域の情報が人種の判断に必要だと報告されていた。本研究の結果から、従来ひとくくりで扱われてきた画像情報のなかに、少なくとも人種判断においては性質の異なる2種類の空間周波数の情報が含まれていることが考察された。