2025 年 25 巻 1 号 p. 60-68
顔画像が周辺視野の同じ位置に連続して提示されると、顔の形や色が歪んで見え、不気味さを感じる。これは連続提示顔の変形効果(Flashed Face Distortion Effect, FFDE)と呼ばれる。提示された顔画像の目の位置がずれるとFFDEが弱まることから、FFDEには目の情報処理が重要であることが示唆されている(Tangen et al., 2011)。しかし、顔を上下逆さにした刺激を用いた場合にFFDEが弱まるという倒立効果がこれまでの研究から明らかになっており、顔に特有な処理もFFDEの発生に関与していることも示唆されている(Utz & Carbon, 2015)。本研究では、顔全体と目などの顔の部分に対する情報処理がFFDEに及ぼす影響を検討し、FFDE刺激を提示した際の歪みと不気味さという主観的な強度と潜時や歪みを知覚した合計時間という時間的特徴を測定した。実験では、様々な顔の部位を10秒間提示した。参加者は歪みを感じている間スペースキーを押し続け、その後歪みや不気味さの程度を回答した。本研究の結果、顔全体を提示した条件でFFDEが最も強く知覚され、目のみが提示された条件や目が隠された条件はFFDEが弱まることが示され、顔の認知と同様にFFDEでも顔の全体処理や目の提示がFFDEの発生に特に重要な役割を果たしていることが示唆された。