日本顔学会誌
Online ISSN : 2188-0646
Print ISSN : 1346-8081
ISSN-L : 1346-8081
研究ノート
髭が成熟性・男性性・攻撃性の容貌印象に及ぼす効果
伊藤 朱里阿部 恒之
著者情報
キーワード: 脱毛, 印象管理, メンズ美容
ジャーナル フリー

2025 年 25 巻 1 号 p. 69-75

詳細
抄録

髭は、ヒトが進化の過程で特殊に発達させた特徴の一つである。西洋文化圏では、髭が男性の顔の印象形成に大きな影響をもたらしていることが指摘されているが、日本では、これまで髭のみに注目した印象評価研究はほとんど見られない。日本において、髭を剃ることは男性の身だしなみの一つとして習慣になっており、さらに、近年は半永久的な髭脱毛も流行している。柔和な印象の男性が好まれていることから、その印象を打ち消す髭が排除の対象とみなされ、髭が否定的に認識されている可能性があると推測した。そこで、髭が成熟性・男性性・攻撃性の印象に与える影響を明らかにするために本研究を実施した。髭の位置を操作した4水準の刺激を作成し(髭なし、鼻下、鼻下と顎、口周り全体)、それぞれの印象について、大学生44名に一対比較法による評価を求めた。性別(被験者間)と髭(被験者内)を要因とし、成熟性・男性性・攻撃性の3つの選択率を同時に従属変数とする二要因の多変量分散分析を行った結果、評価者の性別に関係なく、髭があるとより成熟し、男っぽく、攻撃的に見えることが明らかとなった。また、鼻下と顎の髭は、最も男らしく見えるなど、髭の生え方によって印象が異なることが示された。髭がもたらす印象は、文化や地域を超えた共通性を有することが示唆された。また、髭の手入れの仕方で印象を操作できるという美容に関連した示唆も得られた。

著者関連情報
© 2025 日本顔学会
前の記事 次の記事
feedback
Top