2017 年 67 巻 2 号 p. 107-112
フラッシュオーバー発生限界発熱速度の予測式を理論的考察および実験データとの相関により導いた。二層状態での煙層の熱収支からフラッシュオーバーに必要な最小の発熱速度を,開口因子,内表面積および周壁材料の熱慣性により定式化した。係数は二層ゾーンモデルによる数値計算結果との相関で決定した。こうして求めた予測式は既往の実大実験の中央値と一致するが,模型実験に対しては過大な値となった。これを改善するため,室規模とフラッシュオーバー発生時間の関係を実験データから求めて代入したところ,模型から実大規模まで一貫して予測可能な式が得られた。さらに,フラッシュオーバー発生限界発熱速度を安全側に求める設計式も併せて提案した。