日本で販売されている消火器には,「1 安全栓を引き抜く;2 ホースをはずし火元に向ける;3 レバーを強く握る」という起動方法が表示されているが,消火剤をどのように放射するかなどの消火方法は示されていない.Shoub ら(1957) によると,液体火災の最も効果的な消火方法は,一度に全面を覆うように消火剤を放射することとされているが,消火剤をどのように放射するかという消火方法は述べられていない.そこで本研究では,消火方法を明らかにすることを目的として,人が消火器を操作してヘプタン火皿の火炎の消火を試みる実験を行い,消火剤の散布状況と消火成否の関係を分析した.その結果,消火薬剤が燃焼面の全面を横切って散布される;消火剤噴流の一部が火皿手前の壁に連続的に衝突する;燃焼面の最も遠い点までの距離が限界値より小さい;の三つを同時に満たすことが,消火成功条件であることを明らかにした.