2020 年 70 巻 3 号 p. 95-108
近年,トンネル火災の被害低減に向けた研究として,散水システムの効果が多くの関心を集めている。この研究では,CFDモデルを利用し,トンネル内における水噴霧システム,集中換気システム,様々な車両閉塞条件をパラメータとし,重量物運搬車両(HGV)火災時の影響について,数値解析が行われた。HGV火災時の発熱速度は,最大で100MWとなるように設定した。車両閉塞条件,すなわち火源付近の車両断面積の比率は,9.8%,21.7%および33.6%の3条件について解析を行った。数値解析は,種々の火災シナリオに対し,煙流動,温度分布,CO濃度分布,および視認性を対象とした。車両閉塞条件,散水条件,集中換気システムの作動有無など,7ケースについて分析が行われた。この研究において,避難安全性については,温度分布と視認性が重要な要素であることが示唆され,また避難安全限界条件の評価については,異なる火災シナリオを比較するために,Efectis Nederland BV の指標が用いられた。