『雪国』(川端康成著)を対象に、文中に描かれている服飾関連の場面をとりあげ、人間と衣服の関係を考察した結果、以下の点で明らかとなった。1. 素材:駒子と絹、島村と麻を関連させている。江戸時代の名著『北越雪譜』が引用され、繊維および人における陰と陽、柔と剛が効果的に表現されている。2. 色彩:色彩表現は絵画的であり、雪の白、頬の赤、髪の黒といった対比表現が多くみられる。色彩感情も豊かであり、清少納言の『枕草子』が連想される世界が描かれている。3. デザイン:ほとんどが和服の世界であり、職業や気温との関係が考察された。