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住環境中にみる真菌はそれぞれの環境に応じた活性を維持しながら生息しているが, その生物学的特性についての情報は少ないため, 今回は低温環境下での真菌の活性維持について検討した. 供試菌は住環境中から分離同定した真菌5種とした. 胞子液を作製し容器に分注し, −20, −80℃の冷凍庫に入れ, 経時的に生菌数を測定した. その結果, −20℃の場合, Penicillium, Aspergillus versicolor, Eurotiumの生残率変化は小さいが, Cladosporium, Fusariumは生残率が大きく低下した. 低温下での活性は菌種による差が認められ, また, 温度により, 活性維持に違いが認められた.