【目的】食餌性天然抗酸化剤カロテノイドの一種であるアスタキサンチンには、糖尿病に対する抑制効果が報告されているが、高価なことから、少量でも高い効果を得る方法の研究が求められている。そこで、生体内での抗酸化剤トコフェロールに対する節約作用が報告されているゴマ成分セサミンによって、アスタキサンチンの節約効果も期待できるのではないかと考え、検討した。【方法】Wistar系ラット(雄、6週齢)13匹を、飼料中にセサミンを含まないコントロール群(C群)と、0.2%セサミンを含むセサミン群(S群)とに分け、アスタキサンチン2mg/dayをゾンデ投与し、2週間飼育した。飼育中、全5回の尾静脈から採取した血液、糞、及び解剖時の血液、肝臓についてアスタキサンチン・トコフェロール・レチノールの測定を行い、比較検討した。【結果・考察】その結果、C群に比べ、S群は肝臓中の脂質量当たりのトランス型アスタキサンチン濃度が有意に高く、また、肝臓中の総脂質量が低い傾向が見られ、肝臓中のトランス型アスタキサンチン量、脂質当たりのレチノール濃度は高い傾向が見られた。この結果から、生体内においてはセサミンによるアスタキサンチンの節約効果があることが示唆された。