一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
(一社)日本家政学会第55回大会
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食品の色彩嗜好と味覚の関係
~脳磁場応答による分析~
*小園 佳美奥田 弘枝橋詰 顕栗栖 薫長尾 絵美子佐藤 千絵繁冨 梨絵吉本 知津
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p. 70

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抄録

 目的 食物の色彩は人間の食欲に影響を与え、色彩嗜好と味覚にも関連があることが、これまで演者らが行ったアンケート調査で明らかになった。本研究では、脳活動レベルにおいて、色彩嗜好と味覚に関連があるか否かについて検討するため、食品の色彩別脳磁場応答と味覚誘発脳磁場応答について研究を行った。 方法 健常者10名(21・22歳の女性のみ)を対象とし、(1)着色した6種類の飲料・ゼリーの静止画像から受ける視覚刺激により誘発される脳磁場応答をNeuromag社製204ch脳磁計で測定し、周波数解析を行った。(2)5種類の味溶液と蒸留水を用いて、口に含んだ状態と飲み込んだ状態で脳磁場応答を測定し、周波数解析を行った。(3)測定後、着色画像では食欲・五味について、味溶液では味覚の快・不快についてのアンケートを行い、周波数解析の結果と比較した。 結果 飲料・ゼリーともに、赤色・オレンジ色・青色・透明のパワー値が高く、緑色・黒色でパワー値が低い傾向が見られた。センサー別のパワー値は緑色・黒色において、後頭部で8~13ヘルツの帯域のパワー値が低かった。味覚脳磁場応答では、快と感じられた味覚刺激においてパワー値が高く、不快と感じられた味覚でパワー値が低かった。また、苦味では右側頭部でパワー値が高い傾向が見られた。食品の色と味覚との関連性については脳内で複雑な情報処理がなされているのではないかと推察された。

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© 2003 一般社団法人 日本家政学会
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