一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
(一社)日本家政学会第55回大会
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摂食障害者の調理とストレス
*高橋 ユリア下村 道子
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p. 75

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抄録

 目的 摂食障害者の毛髪中含有微量元素の変動、特異的な食概念・食行動、健常者の食概念との比較、家族環境との関係、食によるストレス情報伝達方法などについて発表してきた。今回は摂食障害者の「調理」という観点から「食」と「ストレス」のかかわり方を分析する事を目的とした。 方法 摂食障害者60名に食概念とストレスについて、調理を中心にアンケートおよび聞き取り調査を行った。また、調理が好きであると回答した摂食障害者のなかから、調査協力を得られた20組の母親および家族に、摂食障害者から受ける調理・食・ストレスとの関係についてのアンケートおよび聞き取り調査を行った。さらに、過食症女子短大生の手記95件(1992年7月~11月)、拒食症の娘を子供に持つ母親の手記15件(1995年~1999年)から、調理・食・ストレスに関係する表記を抽出し分析を行った。この両者についても聞き取り調査を行った。 結果 摂食障害者60名中46名が調理をすると答えた。この46名中32名が調理をすることが好きであると答えた。好きな理由として、食べる事はしないが味見による満足感、家族への強制摂食要求、自分の調理したものを相手が食べる事の支配感、調理は誰にも邪魔されない時間・空間、自分の思い通りにできるなどであった。しかし、作った料理を強制的に大量に摂食させられる母親、家族にとっては食べる事もストレスであり、また食べない事も摂食障害者のストレスの原因となり、この事が自分達のストレスへとつながっていた。摂食障害者は調理条件へのこだわりも強く、自分自身のストレスにもなっていた。

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© 2003 一般社団法人 日本家政学会
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