一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
(一社)日本家政学会第55回大会
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住民の防犯・防火意識とその対策
-東大阪市の世帯の場合-
*若井 希水子一棟 宏子
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p. 81

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抄録

目的:ここ数年来、ピッキングによる侵入盗など、住宅における犯罪の増加が目立っている。犯罪や火災は生活の安全・安心を脅かすものとして、住民の関心が高まりつつある。本研究は、住民の防犯・防火対策の実態と関心の度合を把握することを目的としている。方法:2001年7月~10月に東大阪市で消費者団体を通じてアンケート調査を実施した。有効回答数269件、有効回答率80.2%であった。結果:(1)調査対象の77%が住宅の犯罪に不安を感じており、約1割が被害を受けている。防犯対策の実施は78%だが、「郵便受けに新聞をためない」「常夜灯の点灯」など簡易な対策が多い。(2)施錠は家にいる時に6割、ゴミ出しにも1/4がしている。居住年数が短い世帯で施錠率が高い。(3)防犯には地域住民相互のかかわりが重要である。特に人目は防犯効果がある。今回の対象は地域に20年以上住む世帯が多かったため、近隣の顔や名前の把握率が比較的高い。住民と不審者の区別ができる人ほど、犯罪の不安が下がる傾向が認められた。(4)戸建て住宅では不審者に直接声をかけたり挙動に注目する人が9割と多いが、集合住宅では約4割が無視している。(5)対象の75%が火災の不安を感じている。居住年数が古い人の不安は若干低い。(6)地域の防火取組みへの参加意欲は72%と高い。防火対策は「揚げ物のそばをはなれない」「ガス漏れ警報機の設置率」が目立つ。近所に火災があった世帯(約3割)では「消火器具の設置」「消火器の場所・使用法の理解」が多い。木造住宅では「燃える物を置かない」等放火対策をとっている。(7)犯罪や火災への不安が大きいため、地域ぐるみで有効な対策を具体的に推進するなどの方策が必要と思われる。

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© 2003 一般社団法人 日本家政学会
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