一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
(一社)日本家政学会第55回大会
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基本的パターンの視覚的特徴と美しさの評価
*森 俊夫
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p. 82

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抄録

目的 パターンや形態の視覚的特徴は複雑で、正確にその情報を伝えることは難しい。しかしながら、パターンなどの多種多様な視覚的情報が感覚的、心理的に働いて、われわれに美しいとか快いという感情を与える。このような視覚パターンの最も具体的なものが画像である。画像は空間上の各画素がどのような情報をもち、どのように分布しているかによって規定される視覚情報である。本研究では画像を構成する基本的なパターン要素の種類や個数、位置などを変化させて、パターンの視覚的特徴と美しさについて検討する。方法 試料画像は正方形や円などの基本的パターン要素の個数や位置などを変化させて作成した白黒濃淡画像を用いた。画像解析により、これらのパターン画像の角二次モーメント(ASM)、コントラスト(CON)、相関(COR)、エントロピー(ENT)、グレイレベル平均(MIU)およびフラクタル次元(D)を算出した。また、パターンの美しさに関する官能検査を3段階評価で行なった。結果 正方形などのパターン要素の個数が増大すると、パターン全体の一様性や均一性が失われ、局所的変化や情報量、複雑性は増大した。正方形などのパターン要素の個数を一定にして、それらの位置をランダムに変化させた場合には、視覚的特徴に変化はみられなかった。しかしながら、正方形(一辺20ピクセル)と円(直径20ピクセル)の組み合わせでは、正方形の個数を増大(円の個数は減少)させると、パターン全体の不均一性や局所的変化が増大した。ENTを秩序の、Dを複雑さの尺度と考え、バーコフの美的測度を算出した。これと美しさに対する官能評価値との間には比較的よい一致が見られた。

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© 2003 一般社団法人 日本家政学会
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