一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
(一社)日本家政学会第55回大会
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生活排水への負荷低減のための洗浄システムの開発
*大浦 律子小ノ澤 治子渡辺 紀子岡田 仲子生野 晴美尾畑 納子中村 順子
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p. 85

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抄録

目的   本研究は、衣服の洗浄による生活排水への負荷を低減するため、衣服の洗浄システムを総合的に見直し、新システムを開発することを目的とした総合研究である。洗浄機構を捉え直し、生活排水への影響を低減するために、それぞれが洗浄に関わる主要素(洗浄剤、洗浄用水、被洗物、漂白剤、非水洗浄)について分担研究し、総合的対策として提案することを目的とする。方法   従来の合成洗剤に代わる環境負荷の少ない酵素を利用した洗剤の開発のために、水晶振動子を用いて酵素の洗浄への寄与を検討した。また、生分解性に優れる機能性高分子ビルダーを開発し、そのカルシウム補足能および油性汚れ、固体粒子汚れに対する乳化・分散能について研究した。洗剤を用いない水系洗浄については油性汚れの除去を、新型洗濯機及び水質分析計により水質改善、超音波の使用、浸透イオン洗浄等を通して検討した。一方、洗浄用水の改良の点からは、水洗い対応加工を付与した諸種の羊毛加工布を用いて汚染性、洗浄性の検討を行った。さらに漂白剤の有効利用として、触媒の開発を行う一方で、洗剤に漂白剤を配合することにより、洗剤の使用量を低下させ、排水への影響を図った。加えて、非水系洗浄溶剤の改良については、水系に近い新規な洗浄溶剤として各種、水/アルコール系混合溶剤廃液の浄化を検討した。結果   酵素を使用した洗浄、高分子ビルダーの開発、酵素および触媒を併用した殺菌、色素汚れ除去、脂質二分子膜の利用、水質の改良、超音波、浸透イオン洗浄、各種加工を施した羊毛の水系洗浄、水/アルコール系混合溶剤を用いた洗浄についてそれぞれ効果的な結果を得た。このことにより、洗浄による生活排水への負荷を低減するいくつかの方策を提案することができた。

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© 2003 一般社団法人 日本家政学会
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