一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
(一社)日本家政学会第56回大会
セッションID: 2-1-42
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ゴマ13Sグロブリン-カプリン酸ナトリウム混合系の常温下におけるレオロジー特性
*落合 寛太田 尚子
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抄録

目的 既に、ある種のタンパク質では脂肪酸塩を添加するだけで常温下でもゲルを形成し得る事を報告した。今回は従来脂肪酸塩添加でのゲル形成に加熱処理が必須と考えられたゴマ13Sグロブリンのカプリン酸ナトリウム(NaC10:0)混合系でのレオロジー変化を歪み制御型粘弾性測定装置にて動的粘弾性及び応力緩和測定を行う事により微少変形下での物性を明らかにする事を目的とした。方法 ゴマ種子をヘキサンで脱脂後、長谷川らの方法により粗13Sグロブリン画分を得た。このゴマ13Sグロブリン(12.5%)にNaC10:0(2_から_4%)を加え、0.3M食塩共存下、pH 8.4に調整後、25℃にて動的弾性率の歪み依存性、周波数依存性、時間依存性測定に供した。更に時間依存性測定後、試料の線形範囲を歪み依存性測定により求め、直接応力緩和測定をした。結果 NaC10:0濃度2%の場合、21分後にゾル‐ゲル転移が観察され、約13時間後にG'とG" がほぼ平衡になり、G'は600Pa、G" は90 Paに達した。3%の場合、22分後ゾル‐ゲル転移、約27時後にG'とG" が平衡化、そのG'は200Pa、G" は70Paに達した。4%のでは、40分後にゾル‐ゲル転移、約22時間後にG'とG" が平衡に達し、G'は100Pa、G" は50Paであった。各G'とG" の比率を算出すると、それぞれ2%で6.6、3%で2.8、および4%で2.0となり、これら3種の条件下では2%添加物が最も内部構造が強固なゲルである事が判った。逆にNaC10:0濃度の増加につれて脆弱なゲルになることが判った。更にそれぞれの応力緩和測定により、最も弾性的な挙動を示した2%添加物の緩和弾性率が最も高い事が判った。

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© 2004 一般社団法人 日本家政学会
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