一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
57回大会(2005年)
セッションID: 1Aa-4
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サクシニル化羊毛の吸湿性
*小原 奈津子山口 奈穂子金井 まゆみ中島 利誠
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抄録

<B>目的</B> これまで還元や酸化後サクシニル化した羊毛の吸水性について検討してきたが、これらの処理によって吸湿性も高くなることが明らかになった。サクシニル化には数種の無機塩を用いるため、サクシニル化羊毛中のカルボキシル基はNaもしくはK塩を形成している。本研究では、還元後サクシニル化した羊毛のカルボキシル基の塩の形成状態の吸湿性に及ぼす影響について検討した。<BR><B>方法</B> 試料:羊毛繊維(トップ)。還元処理:40℃の3M2-メルカプトエタノール水溶液中で6時間振とうした。サクシニル化:還元羊毛を浸漬したpH8.0のリン酸バッファー中に無水コハク酸(6.85g/g・wool)を少量ずつ加えた後、室温で24時間撹拌した。この間、反応系のpHを保つために、10MNaOH水溶液を適宜滴下した。脱塩:還元サクシニル化羊毛を電解透析した。NaおよびK含有量:硫酸および硝酸で加熱分解し、原子吸光光度計を用いて定量した。吸湿性:各種無機塩の飽和水溶液を用いて、デシケーター法により0_から_83%R.H.下の試料の水分率を測定した。<BR><B>結果</B> 電解透析時間を変えて還元サクシニル化羊毛の脱塩を行ったところ、透析時間の長かった試料ではNa:2μg/g、K:4μg/g(未脱塩試料はNa:195,000μg/g、K:145μg/g)となりほぼ脱塩されていた。時間の短かった試料ではNa:1800μg/g、K:158μg/gであった。未脱塩の還元サクシニル化羊毛の吸湿性は未処理羊毛より高い吸湿性を示したが、完全に脱塩および脱塩半ばの試料では未処理羊毛よりわずかに低い吸湿性を示した。また、水分率が増すとともにT<SUB>g</SUB>は低下し、水分率11_から_56%の未処理羊毛のT<SUM>g</SUB>は42.6から29.2℃であることが明らかとなった。

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© 2005 一般社団法人 日本家政学会
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