一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
57回大会(2005年)
セッションID: 1P-12
会議情報

『アンネの日記』食物関連事項からみる“隠れ家”の食生活の様子
-食糧調達の内容-
*小竹 佐知子
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

目的 『アンネの日記』に書かれている食物関連事項を食糧調達の視点から検討し、“隠れ家”の食生活の様子がどのように変遷していったかを調べた。方法 『アンネの日記 完全版』文春文庫、アンネ・フランク著、深町眞理子訳、文藝春秋社(1994)を調査対象資料とし、日記記載のうち、食品、食器、調理用語、食事動作に関わる内容のものを食物関連事項とした。結果 日記は4.3日に1回の割合で書かれており、そのうちの64%の日に食物関連事項が認められた。隠れ家生活の支援は中心的存在として5人のオランダ人がおり、その他にアムステルダム市内のパン屋、牛乳屋、八百屋、肉屋および地下組織が関わっていた。2年1ヶ月に及ぶ隠れ家生活での食糧事情は、前期・平穏期、中期・悪化期、後期・困苦期の3期に分けられた。隠れ家生活開始直後の平穏期は、充分な貯蔵食糧の存在と比較的容易な食糧調達により、不自由な中にも新しく始まった“隠れ家”生活での食事を楽しむ余裕があった。悪化期は、品薄、品質劣化が目立つようになり、隠れ家での閉塞的な生活による精神的疲労も加味された時期であった。最後の困苦期は、少ない食糧の配分で隠れ家内のメンバー間のいさかいが頻発し、食事を抜く節約法をとらざるを得ない状況であった。隠れ家生活を支援していた人たちの逮捕も、食糧調達を危うくし、隠れ家内のメンバーへのストレスは大きかった。

著者関連情報
© 2005 一般社団法人 日本家政学会
前の記事 次の記事
feedback
Top