一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
57回大会(2005年)
セッションID: 1Xa-1
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染色したシルクパウダーの顔料的利用に関する研究
*瀬戸 房子岡村 好美
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抄録

目的 主な天然の被服素材はセルロース系とタンパク質系繊維であるが、染色を施す場合、種々の官能基を有するタンパク質系繊維では鮮やかで深みのある色彩を得やすいが、セルロース系繊維では染まるものの鮮やかさに欠ける場合が多い。一方、被服材料の染色には主に染料が用いられているが、古来より顔料も利用され、綿等は顔料染めに用いられる。本研究では、タンパク質系繊維である絹の染色性を利用し、絹繊維を染料を担持した粒子状にして、顔料染めの手法によってセルロース繊維を染色することを試みた。方法 顔料の作成には、絹繊維と酸性染料のメチルオレンジを使用した。絹10g、CaCl2水溶液100ml中で溶解し、メチルオレンジを0.2g加えた。常温で24時間放置後、透析を24時間行ない、凍結乾燥させてシルクパウダーを得た。綿布、麻布を試料として用いた。所定の濃度で染色したシルクパウダーの水分散液を作成した。分散液と試料布を一緒にラップし、常温で10min圧力をかけ、十分に蒸留水で洗浄した。乾燥させ、色彩色差計を用いて染色布の色差を測定した。試料布の表面状態を電子顕微鏡(SEM)で観察した。結果 メチルオレンジで染色した試料布は絹布より色彩が淡く、綿と麻の染着量は同程度であったが、色彩は若干麻の方が鮮やかであった。未染色布、染色布を顔料染めの手法で染色を行なった結果、シルクパウダーの付着によって未染色布は一般の通常の染色方法で染色した場合に近い色彩が得られ、染色布では明度が低下した。凍結乾燥させたシルクパウダーは硬く、染色後も膨潤せず、顔料と同様に硬い粒状であった。SEM写真にから、顔料と同様に試料布の繊維表面にシルクパウダーが付着していることを確認した。

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© 2005 一般社団法人 日本家政学会
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