一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
57回大会(2005年)
セッションID: 1P-13
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頼(らい)山陽の母が残した『梅颸(ばいし)日記』食品贈答に見る畜肉製品
*大久保 恵子小竹 佐知子
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抄録

目的 頼山陽の母・梅颸(ばいし1760_から_1843)が26歳から85歳まで書き続けた日記48年間の資料の食品贈答で、畜肉製品の利用状況を検討した。方法 『梅颸日記』から食品贈答の記事を抜粋し、用いられている畜肉製品の頻度、利用状況、贈答相手を調査した。結果 『梅颸日記』に記述されていた食品贈答は、梅颸側から贈ったもの(贈り物)が848項目、梅颸側が貰ったもの(貰い物)が1228項目認められた。このうち畜肉製品は贈り物では3項目2品(鴨2・鶏肉1)、貰い物では33項目12品(鴨13・鶏4・山鳥4・すっぽん3・雉2・雁1・小鳥1・ひよ鳥1・牛1・干はむ1・鶴1・熊1)が登場した。全項目数にしめる畜肉製品の割合は、贈り物での0.4%に比べて、貰い物での2.7%の方が高かった。3項目あった贈り物は、他からの貰い物を贈り物として用いる使い回し(鴨)と結婚祝(鴨)と拝領物の裾分け(鶏)であった。貰い物では、33項目のうち6項目が拝領物であり、このうち頼の家が直接拝領したものが2項目(鴨・鶏)、その他は知人が拝領したもの(鴨)、山陽の叔父が拝領したもの(鴨・雁)、山陽が日野氏より拝領したもの(鶴)を裾分けされていた。貰い物のその他の用途は、謝礼、中元であった。梅颸は貰った食品についての感想をほとんど日記に残さなかったが、文政11年9月22日に貰ったすっぽんについて「甚だチイサシ」と記していた。

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