一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
57回大会(2005年)
セッションID: 1Ca-12
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脱塩基部位を持つDNAを用いた食品の新しい抗酸化能測定法
原田 和樹山内 富夫*福田 奈未牧野 義雄安藤 真美永塚 規衣長尾 慶子
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抄録

目的 我々は、食品、特に醤油が持つ抗酸化能を、電子スピン共鳴装置(ESR)を用いたヒドロキシラジカル捕捉活性能やケミルミネッセンス(化学発光)法を用いたペルオキシラジカル捕捉活性能を指標として報告してきた1)。今回は、活性酸素に攻撃される側のDNAに注目して、脱塩基部位、すなわち脱プリン・脱ピリミジン部位(APサイト)を持つDNAを用いた食品の新しい抗酸化能測定法を報告する。
方法 アッセイ系としてのDNAは鮭精子を使用した。APサイトの検出は、APサイトをビオチン化し、更にそのビオチンを酵素で修飾して発色させる系を用い、APサイトの定量は、検量線から行った。ヒドロキシラジカルを発生させるフェントン反応は、8.8mM過酸化水素水と1.0mMの硫酸鉄を用いた。なお、本実験に際しては、同条件でESRを用いた実験も行い、ラジカル捕捉率とIC50値も算出している。
結果 コントロールDNAにおけるAPサイト数は100kbpあたり10.6個であったが、ヒドロキシラジカル損傷を起こしたDNAのAPサイト数は42.4個であった。ヒドロキシラジカル損傷時に醤油添加の鶏煮こごりが存在するとAPサイト数は34.3個に減少した。この時の損傷防御率は25.5%であった。また、ラジカル捕捉率は99.0%であり、IC50値は1.1%であった。この事は、醤油添加の鶏煮こごりが、ラジカル捕捉活性能を示すだけでなく、DNA損傷の防御機能を持っている事も示唆した。更に、本実験法がさまざまな食品の新しい抗酸化能測定法になる可能性を示している。
[文献] 1) M. Ando and K. Harada et al.: Int. J. Mol. Med., 12, 923-928 (2003).

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© 2005 一般社団法人 日本家政学会
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