一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
57回大会(2005年)
セッションID: 1Za-5
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生理不順は骨量に影響するか
*河野 節子
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抄録

【目的】肥満は生活習慣病の防止の観点から防止する必要があり、体脂肪を減少させる必要がある。しかし、体重の減少は骨量低下と共に生理不順を引き起こし、老後の寝たきりが懸念される。また妊娠、出産にも悪影響を及ぼす危険性があり、大いに憂慮される。昨年の本学会においても、若い女性の痩身志向が骨量減少を招く危険性を示唆した。今年度は被験者数を加えて、生理不順が骨量に影響するか検討するため、生理正常者と不順者に分けて体組成、骨量の検討を行った。【方法】体組成は体組成計BC118(タニタ社製)で測定し、骨量の測定は、A-1000 PLUSII超音波踵骨測定装置(LUNAR社製)で実施した。データの分析にはSPSS11.0Jを用いた。【結果】被験者320名のうち生理正常と申告した者全てをN群として、不順または無月経であったが再来した者全てを不順(AN)とした。Nは218人、ANは102人であった。Nの体重51.9kg、除脂肪体重37.0 kg、体脂肪率28.1%、ANは各々49.5kg、36.0 kg、26.90%と両群とも正常範囲であったが、Nが有意に高値であった。さらに、Nにおけるダイエット経験者は121名(55.5%)、ANでは69名(67.0%)でANの方が高い傾向を示した。生理の正常・不順の間には骨量(stiffness値)の差を認めなかったが、体重の最も重いNのダイエット経験群と体重の最も軽いAN群のダイエット未経験群の間には有意の差を認めた(p<0.05)。  以上の結果をもとに、生理順・不順、ダイエット経験、体脂肪率(または除脂肪量)を要因、stiffness値(骨量)を従属変数として交互作用を検討したところ、生理正常・不順(p<0.262)には有意の差はないが、ダイエット経験(p<0.011)、体脂肪率(p<0.003)には差があり、しかも、生理正常・不順×体脂肪との交互作用は認められた(p<0.007)。これらの結果から、生理正常者の骨量は体重に依存するところが大きいが、生理不順者の骨量はエストロゲンの不足や他の要因の関与が示唆された。

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© 2005 一般社団法人 日本家政学会
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