一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
57回大会(2005年)
セッションID: 2Da-7
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高圧処理が卵白オボムコイドのアレルゲン性に及ぼす影響
*小谷 スミ子
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抄録

【目的】 卵白オボムコイド(OVM, Gal D 1)は、特異な分子構造により加熱処理や化学的処理に対して強い抵抗性を示し、そのアレルゲン性を除くことは難しい。OVMのアレルゲン性低減化に向け、高圧処理の影響を卵アレルギー患者血清IgEとの結合性およびヒト好塩基球様細胞を用いたNAGase活性の測定を中心に検討した。 【方法と結果】 (1)OVMを高圧処理(100_から_600MPa、15℃、10分)し、ELISA法により卵アレルギー患者血清IgE抗体との結合性を検討した。卵白に対するRAST値の高い血清8例中4例において、超高圧処理によるOVMの血清IgEとの結合性の明らかな低下が認められた。さらに加圧すると500_から_600MPaでは結合性が回復する例が認められた。一方、100℃加熱処理では、超高圧処理に比べて顕著な結合性の低下は認められなかった。(2)NAGase活性測定はヒト好塩基球様細胞株KU812Fに患者血清IgE抗体で感作させ、抗原として高圧処理したOVMを加え、脱顆粒刺激を行った。脱顆粒の際にヒスタミンなどの化学物質と共に放出されるNAGase(β-ヘキソサミニダーゼ、EC 3.2.1.52)の活性を測定し、脱顆粒の指標とした。すべての患者血清において加圧により活性の低下が認められた。加熱処理では5例において活性の低下が、残りは顕著な変化は認められなかった。(3)以上の結果から、高圧処理はOVMのアレルゲン性を低減化する方法の一つとして期待される。

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