一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
57回大会(2005年)
セッションID: 1Ea-3
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濃厚卵白の添加が麺の性状に及ぼす影響
小川 宣子山中 なつみ*伊藤 敬恵
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抄録

目的:卵白を麺作製材料として使用することによる麺に及ぼす影響を物性から検討し、その要因について表面構造およびたんぱく質の結合状態から調べることを目的とした。
方法:卵白を添加していない麺と水分含量を同じに調製した濃厚卵白を添加した麺についてクリープメータを用い、硬さは破断応力、弾力は瞬間弾性率(E0)、粘性は付着性、定常粘性率(ηN)から調べた。また、麺の構造は走査電子顕微鏡により観察を行った。たんぱく質の結合状態は、ゆでる前の麺(ドウ)をホモジナイズし、この上澄み液中の水溶性たんぱく質を試料とし、ポリアクリルアミド電気泳動法(pH9.0トリスホウ酸電極用緩衝液、30mA定電流で泳動後、CBBR染色)およびDTNP溶液によるSH基量から検討した。
結果: 卵白を麺に使用することで破断応力、E0、ηN、付着性が大きくなった。卵白を添加した時のドウの構造は添加しなかった場合のドウに比べ網目が太くなっていることが確認できた。また、卵白を添加したドウは、無添加の場合に存在した泳動帯の一部がみられず、SH基量が高かった。これより、卵白を添加することで、SH基量が増えSS結合が形成されることでドウの網目構造が強固になり、さらにでんぷんやたんぱく質が絡みやすくなり、フリーの水溶性たんぱく質が減少したことが麺の物性に影響を及ぼしたと推定した。

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© 2005 一般社団法人 日本家政学会
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