一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
57回大会(2005年)
セッションID: 1Ea-11
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ババロアの物性に及ぼす起泡生クリームの性状とゼラチンゾル温度の影響
*宮下 朋子長尾 慶子
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抄録

目的ババロア調製時の重要な調理要領の1つに、生クリームの起泡程度やゼラチンゾルの混合温度が上げられる。しかし、一般の調理では、その見極めは目視や手に伝わる粘り、硬さなどの主観的感覚に頼る事が多く、明確な基準は見当たらない。本研究では、ゼラチンゾルに加える起泡生クリームの性状およびゾルの温度に焦点を当て、ゼラチンゾルと起泡生クリームを用いたモデル実験からババロアの調理要領について検討した。
方法アルカリ処理高温抽出ゼラチン2gを10gの蒸留水で膨潤した後、50℃で溶解し、40_から_14℃までの8水準とした各々のゼラチンゾル中に、一定時間攪拌した起泡クリーム(中沢製純生クリーム)10gを120rpm/secで15秒間攪拌しながら加え、100gに調整した。混合後、直ちに5℃の冷水で冷却し、各々のモデルババロア試料を得た。なお、起泡生クリームの調製は、5℃に設定した生クリームを定速で攪拌し、各々を6分立て、8分立て及び全立てとした。得られた各試料の比重及び力学測定、顕微鏡観察を行った。
結果モデルババロア試料は、起泡生クリームへの混合温度が高いほど、比重の小さい上部起泡クリーム混合ゲル層と下層のゼラチンゲル層に分離しやすく、両層の比重差が大となった。また上層部体積は、攪拌時間の長い起泡生クリームほど大きかった。いずれのゲルも、混合温度が18℃、16℃の時、最も均一に分散した。また起泡生クリームは、6分立てが最もゼラチンゾル中に分散しやすかった。この事は、ゲルの比重測定でも同様の結果が観察された。以上より、ゼラチンゾルに起泡生クリームを均一に分散させるには、ゾル温度18_から_16℃で、攪拌程度が6分立ての生クリームを混合すると良いと考えられる。

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© 2005 一般社団法人 日本家政学会
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