一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
57回大会(2005年)
セッションID: 1Fa-3
会議情報

高齢者バリアフリー環境の視点からみた台所空間の物理環境要因の評価
*柴田 祥江松原 斎樹
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

目的 高齢者にとって調理空間としての台所の安全性、作業性、快適性を確保することは重要で、これまで、調理台の適正高さ、配置計画などの研究がされているが、台所環境について、音、光、空気、熱の物理環境要因を評価した研究はあまりない。本研究は高齢者が居住している住宅の台所環境について、現状を把握し、バリアフリー環境の視点から物理環境要因を評価することを目的として実施した。
方法 兵庫県内の高齢者と一般成人(高齢者大学受講生と講座修了生)を対象に2004年7月にアンケート調査を実施した。調査項目は、住宅、台所の状況、バリアフリー化の設備機器の設置率、台所で危険・不具合経験、台所環境物理環境要因のあり方の重要度(5段階評価)と現在の台所環境について満足度(5段階評価)である。
結果 アンケート調査の有効回収票は472票(有効回収率40.8%)であった。重要度の平均値が、最も高かったのは、安全性で4.93(SD0.28)、次に機能性・使用性4.74(SD0.47)、清潔・掃除のしやすさ4.63(SD0.52)、光環境4.61(SD0.56)であった。満足度が低かったのは、夏の暑さ-0.07(SD1.10)、ゴミ処理のしやすさ0.12(SD1.05)、換気扇の作動音0.13(SD1.05)、他室との温度差0.16(SD0.88)、冬の寒さ0.18(SD0.98)であった。台所の温熱環境については満足度が低く、重要度でも比較的低い評価であったことが関係していると考えられる。台所で経験した不具合では、温熱環境項目の、「夏は暑くて、火を長く使う調理などはしたくない」ことは57.6%が、経験しており、最も不具合率が高かった。本研究の結果、高齢者の台所環境バリアフリー化において物理環境要因の重要性が示された。

著者関連情報
© 2005 一般社団法人 日本家政学会
前の記事 次の記事
feedback
Top