一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
57回大会(2005年)
セッションID: 2Ga-3
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被災10年後の住宅・生活復興に関する研究
(その3)復興の特性と今後の課題
宮崎 陽子李 華*岸本 幸臣
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キーワード: 復興政策, 格差, 認知, 離脱, 評価
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抄録

研究目的 前二報に同じ
調査方法 前二報に同じ
考察結果 (住宅復興政策の評価)「住宅復興3ケ年計画」は、制度自体を知らない者が57.9%に達し、回答項目では被災者に役立たないが21.8%を占めている。昨春改正された「住宅再建支援法」についても、否定的回答が68.3%を占め、新らな災害に役立つとする肯定的回答は41.7%に留まっている。(住宅復興の責任主体)被災者の「住宅再建責任」は,公共の責任とする回答が50.0%、弱者だけ公共の責任とする回答も25.9%見られ、個人責任論を大きく上回っている。被災者への住宅の公的保障の前提となる「居住の権利」の認知は、何となく知っているの50.5%が多く、次いで全く知らないの29.4%が続いている。全体として認知率は69.0%と高率を示している。被災者への「国の住宅保障」でも、全半壊世帯には是非必要の回答が57.7%と多く見られる。(評価の背景要因)「住宅・生活復興評価」では、復興後の住宅状態との関わりが顕著で、復興住宅入居者の評価が格段に低い結果となっている。また,区画整理地区内の者は、それ以外の地区の者よりも復興評価が低下し、事業が復興の制約になっていたことを示している。「住宅保障主体や居住の権利の認知度」が、震災後の移転回数や現住宅状態に大きく影響されていることが分かる。(まとめ)震災からの住宅復興は、地域差や現住宅状態間の格差を拡大させながら、復興離脱層を生み出しており、復興の厳しさが自由記述にも顕著であった。被災者の生活再建を包括的に支援する新たな制度創設が今後の課題として問われている。

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© 2005 一般社団法人 日本家政学会
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