一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
57回大会(2005年)
セッションID: 1Ja-9
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高齢者施設における料理活動の効果
-痴呆性高齢者を対象とした事例-
*湯川 夏子前田 佐江子大垣 まり子平嶺 富美子
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抄録

【目的】現在、福祉の現場では、料理活動をアクティビティケアとして導入する機運が高まっている。料理活動を介して心身の障害の機能回復・症状の改善や、情緒の安定、豊かな人間関係の構築と生活の質(QOL)の向上が期待される。本研究ではこのように料理を療法的に活用する方法論の確立を目指している。今回は、介護老人保健施設における認知症(痴呆性)高齢者を対象とした料理クラブの活動の介入調査し、参加者に対する料理活動の効用を明らかにした。
【方法】調査期間は平成16年1月からの1年間、介護老人保健施設痴呆専門棟入所者を対象とした料理クラブの様子を介入調査した。月1回から2回、合計13回昼食時に実施した。参加者は1回につき4名から5名、援助者は、介護職2名、管理栄養士1名、ボランテイア1名であった。援助者による参加者の個別評価、及び全体の観察評価を行った。
【結果】参加者の「痴呆性老人の日常生活自立度」はIIbからIVで痴呆緩和を目的とするグループである。低・中程度の痴呆の人では、包丁の使用が可能であった。重度の人は、包丁の認知がむずかしく、調理が困難であったが、情緒の安定がみられた。同じメンバーで継続して実施することで、少人数のなじみの関係が築かれ、コミュニケーションが深まり、共同作業をスムーズにおこなえるようになった。また、料理の作業内容や会話に、自発性がみられるようになった。また、メニューではちらしずしなどのなじみのあるメニューで作業や会話が活発になった。以上のことから、痴呆性高齢者に対して、料理活動が様々な効用をもつことが明らかとなった。

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© 2005 一般社団法人 日本家政学会
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