一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
57回大会(2005年)
セッションID: 2Ja-7
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保育・幼児教育教材における布の絵本に関する考察
*藤田 昌子藤田 智子
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抄録

【目的】「保育所保育指針」や「幼稚園教育要領」において、遊びは自発的・主体的活動であり、心身の調和のとれた発達に必要な体験としてその意義が述べられている。本研究では子どもの遊びの手がかりとなる児童文化財として「布の絵本」をとりあげる。「布の絵本」はストーリーのおもしろさだけでなく、アップリケを触ったり、ボタン・スナップ・マジックテープなどをつけたり、はずしたりして楽しめ、多様な遊びができることで注目されている。よって、保育・幼児教育教材における布の絵本の意義について考察することを本研究の目的とする。
【方法】布の絵本に関する文献分析、福岡県内の短大生及び専門学校生を対象とした質問紙調査、及び学生の作品製作後のレポート分析
【結果】(1)布の絵本の特性は、「保育所保育指針」「幼稚園教育要領」の「ねらい」及び「内容」における「健康」「人間関係」「環境」「言葉」「表現」の5領域を満たすことのできる要素をもっていた。布の絵本は子どもの働きかけによって遊び方が多様にあり、遊びを発展させるものであった。また、手作りであるため、子どもの発達レベルや生活内容に合わせて、遊びに変化をもたせることができ、子どもの心身の発達にふさわしい児童文化財といえた。(2)学生は、布の絵本の製作を通して、児童文化財をつくる重要性や楽しさを認識でき、子どもの発達内容への関心も深まっていた。(3)多くの学生が布の絵本のもつ多面的な意義を認識していた。布の絵本は心身の発達だけでなく、障害を持つ子も持たない子も遊べるというユニバーサルデザインの理念も含むものとして認識されており、保育・幼児教育を学ぶための教材として意義深いものといえた。以上より、布の絵本を教材として用いることは学生にとっても、子どもにとっても意義があるといえ、今後、保育・幼児教育において布の絵本はより重要な教材になると考えられた。

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© 2005 一般社団法人 日本家政学会
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