一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
57回大会(2005年)
セッションID: 1P-3
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近畿地方における魚介類の使用(1)
-大阪府都市型生活者の状況-
*東根 裕子澤田 参子阪上 愛子山本 信子
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抄録

【目的】近畿地方では古くから魚介類が利用され、食文化が培われてきたが、近年の利用状況を把握するため大阪市を中心とした都市型生活者に対し調査を実施した。これは平成15・16年度日本調理科学会特別研究「調理文化の地域性と調理科学」の一環として行ったものである。【方法】大阪市とその近郊都市に住む37世帯を対象に平成15年12月から平成16年5月に自記式調査を行った。上記研究の調査用紙と方法に基づき、利用する魚介類、入手方法、料理名、調理法、調味料や季節、日常的利用か行事や伝統的な特別の日であるかなどについて聞いた。【結果】調査対象者の年齢は、30歳代から80歳代までと年齢差が大きかったが、30から50歳代で全体の約70%を占めた。魚の種類とその料理数は総計3140であり、1人平均85であった。利用の多い魚介類は、いか、えび、あじ、さけ、さばの順であった。調理法は、焼き物が一番多く、次いで煮物、なま物、揚げ物、飯・麺料理となった。いかでは、なま物・煮物・揚げ物・焼き物がほぼ同率であったが、えびでは揚げ物、あじ・さけでは焼き物、さばは煮物・焼き物が多かった。行事食は、正月に一般的なかずのこ、たい、ぶりをはじめ、ふぐやあなごも使用されていた。かつて大阪では、さばが塩干物やしめさば、船場汁として食べられていたが、今回の調査ではそれらは少なく、伝統的さば料理は減少傾向を示した。一方岸和田市では、小魚と水茄子漬物の煮物、めごちのから揚げ、ふかの酢味噌和え、はもすき、八尾市では、なまり節の煮物などの伝統料理が伝承されていた。

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© 2005 一般社団法人 日本家政学会
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