一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
57回大会(2005年)
セッションID: 1P-37
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ポリエステル染色布の耐光堅ろう度における紫外線吸収剤の効果
湯浅 純子大図 雅美*芳住 邦雄
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抄録

【目的】紫外線吸収剤は、耐光堅ろう度を向上させる有力な方法であるが、その効果に対する照射波長依存性の情報は充分でない。本研究では、分散染料を用いたポリエステル布帛を対象としてその光変退色特性における紫外線吸収剤の効果を解明する。光退色における照射波長の影響を作用スペクトルとして取りまとめることを目的としている。【実験方法】 分散染料からC.I.Disperse Red 167:1を選定しポリエステル布帛を染色した。その布帛を市販紫外線吸収剤(Cibatex LF)で処理したものと未処理のもの2種を試験布として用いた。試験布への光照射は日本分光製モノクロメータを用いて波長別に行い、各波長の照射エネルギー量を測定した。試験波長は213nmから528nmの範囲で行いおおよそ16nm毎に実施した。染色布の変退色評価は、ミノルタ製分光測色計(CM-3700d)によって一定時間毎にL*a*b*値を測定し色差ΔEを求めた。【実験結果および考察】各波長における照射エネルギーが一定の条件での変退色特性をとりまとめた。1000kJ/m2/nmでの結果に着目すると、試験布の変退色は波長310nmにおいてピーク値ΔE5.4に達し波長の増加につれ変退色レベルは低下したが、さらに可視光領域においても波長450から500nmにおいてブロードのピーク値としてΔE2.7が認められた。紫外線吸収剤の効果は、300から400nmの紫外線領域で60から70%の退色防御性能が確認できた。さらに可視光領域においても20から30%の退色防御作用が認められた。すなわち、紫外線吸収剤は可視光を吸収しないにもかかわらず、耐光性を向上させることが本研究では見い出された。

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© 2005 一般社団法人 日本家政学会
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