一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
57回大会(2005年)
セッションID: 1P-39
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型紙のデジタル化処理 その4
-仙台浴衣と仙台手拭いについて-
*川又 勝子佐々木 栄一
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キーワード: 浴衣, 手拭い, 型紙, デジタル化
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抄録

はじめに 昭和初期から仙台地方で多量に生産され,広い範囲に販売された型染め製品に「浴衣」と「手拭い」がある.しかし,当時のものは殆ど失われており,調査対象とした一軒の染色工場に現物として残っているものは,手拭いの染め見本321枚,浴衣地の端布77枚と僅かであった.前回はこれらの電子保存データから手拭いと浴衣各1点ずつを抽出し,自動カッターを用いた型紙複製と染色品を試作した結果について報告した.本研究ではこの調査対象の染色工場(仙台市名取屋染工場)から浴衣・手拭い用型紙141枚を借用し、その型紙文様の電子保存と文様の分類等を行ったので報告する.
方 法 計測は型紙全体の大きさと文様の大きさを測定した.計測の結果,型紙の大きさが約120 cm×約45 cmと大型なものが殆どであった.そのため,今後の型紙複製に考慮し,型紙を4箇所に分けて写真撮影(デジタルカメラ使用)した.さらにフォトレタッチソフトを用いて画像を繋ぎ合わせて電子保存を行い,パソコン上での型紙の修復が可能かどうかについても検討した.また分類は,文様別と作成目的別とに分けて行った.
結 果 収集した型紙は古いもののため歪んだり折れ曲がったりしたものが多く,また損壊しているものも見られた.そのため,パソコン上での修復を行う必要のある型紙も見られたが,今回は若干の修復・加工のみを試みた.また用途については,現在調査中の50枚の型紙のうち,飲食店や宿泊施設等の商業用浴衣・手拭いの型紙が33枚と多く見られた.一方で通常の浴衣として着られたと思われる撫子,梅,椿,藤,金魚などの中型文様の型紙も15枚見られた.

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© 2005 一般社団法人 日本家政学会
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