一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
57回大会(2005年)
セッションID: 1P-53
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ファッション・セラピーの事例研究
-介護老人保健施設におけるグループ療法の試み-
*泉 加代子北井 布子里見 麻子井上 友里
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抄録

目的】我が国の高齢化率は2004年10月に19.5%となった。2014年には25%になると予測され、今後ますます増えると推定される要介護の高齢者を減少させることが重要な課題である。衣服が介護状態の維持・改善に役立つと考えて、前報1)では要介護の高齢女性を対象として個別面接法によるファッション・セラピーを行った結果、対象者全員に何らかの心身の健康状態の維持・改善効果が認められた。本報ではグループで着装アドバイスやコーディネートの工夫を行い、精神状態や日常生活の維持・改善の効果を検討する。
方法】対象者は京都府下の介護老人保健施設入所女性5名で、人選は協力施設に依頼した。実施期間は2004年6月_から_11月の6ヶ月間、回数は約3週間に1回の間隔で計8回実施した。実施内容は、対象者と担当者全員が同じ場所で集まって、まず、その日の健康状態と着用している衣服について尋ね、対象者の嗜好を把握するために服装写真を呈示した。次に、対象者が持っている衣服を着装してもらい、あるいは人台に着せて対象者全員でコーディネートの工夫や意見の交換を行った。初回時と最終回時に施設職員に老人精神機能評価尺度(NMスケール)と生活能力評価への記入を依頼した。
結果】1名は入院のため4回で中止した。回を重ねるごとに対象者自身からコーディネートの提案を持ちかけるなど服装への関心が高まった。また、当初は担当者との会話がほとんどであったが、次第に他の対象者との会話が増え、表情が穏やかになり笑顔が見られるようになった。NMスケール・生活能力評価は4名中1名に維持、3名に改善の効果が認められた。文献1)泉加代子他;日本家政学会第56回大会研究発表要旨集、p.157(2004)

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