目的)近年は中高年者の登山が盛んであり、これに伴い事故や遭難者が増加している。その原因としては、体力の低下だけでなく、登山用装備品や衣服類の不備が挙げられる。これらは適切に選択されなければならない。なぜなら、登山では重量や嵩が限られ、また非常事態に備える必要があるからである。そこで私たちは、その実態を把握することを目的とし、登山の初心者からベテランに至るまでを対象として調査を行った。
方法)2004年9月以降、週末毎に、長野市周辺の登山口において登山客らにアンケート用紙を渡して協力を依頼した。これと並行して、幾つかの登山サークルに連絡を取って協力を願った。調査用紙の回収は郵送によった。主な質問事項は、1)登山経験、2)登山ルートと気象条件、3)衣類の着用および準備状況、4)携行した装備品などであった。
結果)現時点までに145通を回収している。この内、78%が中高年者(40歳以上)である。彼らの登山経験は3_から_55年にわたり、最頻値は15年付近にある。経験の長短により2群に分けて比較したところ、両群ともに多くの者が、自らの登山用装備品及び衣服類については確立していると判断していた。