一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
57回大会(2005年)
セッションID: 2P-36
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中高年における下肢部への着装の違いが体温調節反応に及ぼす影響
*林 千穂前田 亜紀子
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抄録

≪目的≫Liら(1994)は、若者を対象とした着衣実験で、向寒期に下肢部を露出したスカートで過ごした方がズボンで過ごすより寒さに対する馴化が大きかったという報告をしている。そこで、本研究では、若者に比べ長い着衣習慣を持つ中高年者を対象に、下肢部の着衣の違いが体温調節反応に及ぼす影響について実験を行い、考察した。
≪方法≫50代から70代の女性6名を対象に、7月初旬から10月下旬までの3ヶ月間、スカートを着衣した場合と、ズボンとソックスを着衣した場合について、着衣後の8月、9月、10月の3回、人工気候室において寒冷暴露実験を行った。人工気候室では、被験者は両グループとも下腿部と足部を露出し、他は同じ服装で30分間の椅座安静の後、徐々に温度を低下させた室内でさらに60分間の安静を保った。その間、下腿と足背の皮膚温測定と全身温冷感、局所温冷感についての主観申告を行った。
≪結果≫寒冷暴露時にけるスカートグループの下腿皮膚温は、9月、10月においても8月のレベルを維持したのに対し、ズボングループは向寒期に向けて徐々に低下した。スカートグループの下腿皮膚温は秋季になっても、夏季と変わらない高いレベルであったにも関わらず、温冷感は良好であり、ズボン着用とは異なる体温調節反応が示唆された。

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© 2005 一般社団法人 日本家政学会
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