一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
58回大会(2006年)
セッションID: 1P-30
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ポスター発表
泥汚れの実態と洗浄に関する研究
*立川 利彦掬川 正純濱 逸夫
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抄録

【目的】泥汚れは家庭における洗浄において、除去し難い汚れとして認識されている。そこで、改めて泥汚れの洗濯実態を調べるとともに効率的な除去の方法を探る。【方法】_丸1_各家庭における泥汚れに対する処理方法、また洗浄効果への不満点の調査を実施した。_丸2_泥汚れを付着させた布を作成し、Terg_-_O_-_Tometerを用いて洗浄実験を行った。この洗浄液の金属イオンの溶出量を測定し、汚染布の洗浄前後の色差計による反射率との関係を分析した。_丸3_金属イオンの効率的な除去基剤を探索し、衣料用洗剤へ活用した。【結果】泥汚れとはアロフェンなどの無機鉱物とフミン酸などの有機物が複雑な混合物を形成し、その混合物は金属イオンを架橋点として衣類上に存在すると考察される。そこで、各種キレート剤有機酸水溶液に泥汚れ汚染布を浸漬した場合の金属イオン溶出量と、この汚染布を浸漬後洗浄した場合の洗浄率の関係を調べた。その結果、アルミニウムイオンの溶出量が洗浄率との間に高い相関を有することが分かった。次にキレート剤(1-ヒドロキシエタン‐1,1‐ジホスホン酸)水溶液でのアルミニウムイオンの溶出について調べたところ、特定の界面活性剤と親水性の官能基を有する芳香族化合物を添加すると、その溶出が促進されることを見出した。この効果は、界面活性剤と芳香族化合物が泥汚れに浸透することでキレートの作用部位の増加がおこり高効率化したためと推察され、これら各基剤を衣料用洗剤に添加すると、泥汚れに対する洗浄性能が向上することが確認された。

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© 2006 一般社団法人 日本家政学会
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