一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
58回大会(2006年)
セッションID: 1P-36
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ポスター発表
被服形態ならびに観察方法の違いが仕上げ寸法の見え方に及ぼす影響
*福井 典代吉兼 悠子篠原 陽子
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抄録

【目的】衣服のサイズは,年齢,性別,体型によって大きく異なり,仕上げ寸法も服種やメーカーにより変化する。着用者の嗜好によっても選ぶサイズが異なるため,衣服購入時には表示サイズと仕上げ寸法に対する認識が重要となる。そこで本研究では,同一サイズの仕上げ寸法であるが衿ぐりの形態が異なる衣服を用いて,人台に着用させた状態で,立体的に観察した場合と平面上で観察した場合での仕上げ寸法の見え方の違いを検討し,サイズ表示について正しい認識をもつための教材作成の基礎資料を得ることを目的とした。
【方法】衿ぐりの形態の異なる5種の上衣を用いて同一の人台に着用させ,立体的に観察した場合と平面上で観察した場合の2つの観察方法を用い,それぞれ正面,側面からバスト部の仕上げ寸法の見え方の大小について測定を行った。異なる女子大生15名ずつがそれぞれの観察方法で評価し,シェッフェの一対比較の中屋変法により分析を行った。
【結果】立体的に観察した場合,側面からの観察ではバスト部の仕上げ寸法の見え方に違いはみられなかったが,正面からの観察においてF=3.83となり1%の有意差で違いが認められた。平面上で観察した場合,正面・側面からの観察の結果,F=2.91,2.97となり,それぞれ5%の有意差でバスト部の仕上げ寸法の見え方に違いが認められた。すなわち,立体的であっても平面上であっても衿ぐりの形態の違いが仕上げ寸法の見え方に視覚的な影響を及ぼすことが実証された。店頭での購入では試着することによって身体に合う衣服を購入できるが,通信販売のようにカタログを用いた購入では正確なサイズの選択が求められるため,サイズ表示に関する教材開発の必要性が認められた。

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© 2006 一般社団法人 日本家政学会
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