一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
58回大会(2006年)
セッションID: 1P-46
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ポスター発表
コミュニティバス運行の全国的現状把握に関する研究
*天野 圭子中山 徹
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抄録

目的 近年全国的に相次ぐ赤字バス路線の撤退により、高齢者、障害者等交通弱者の移動確保が強く要望されている。こうした背景の下、自治体主導のコミュニティバス運行が増加しているが利用率は低く、採算面も厳しいのが現状である。そこで本研究では、コミュニティバス運行の全国的傾向を把握し、運行取り組みと効果について将来の可能性を見出すことを目的とする。
方法 現在、コミュニティバスを運行している全国市区町村の担当課宛てに、アンケート調査票を郵送し2005年3月28日_から_4月11日に回答を得た。配布数864票、うち回答数497票(回収率57.5%)である。
結果 1)運行事業面を見ると、運行主体については自治体がほとんどであり、コミュニティバスの将来の可能性は、自治体の運行の取り組みとその効果の判断にかかっていると言える。運行形態については、利便性は運行回数等からみても全体的に低い。そのため利用者数は低迷し、なおかつ運賃の低金額設定の傾向が強いため収支率も低く採算性は非常に厳しい。2)地域規模毎の特性としてコミュニティバスは人口規模が大きい都市よりも人口30万人未満の市区町村で多い。また、大規模都市では公共施設の循環を目的とする事例が多いが、人口規模の小さい村のような過疎地域では赤字による撤退路線の代替策として、公共交通の不足を自治体によるバス運行が補完している。3)運行改善への取り組み実施は多くの自治体で行われている。一方で事業評価への取り組みは低く、さらに運行目的に合った事業評価の実施割合は非常に少ない。本研究結果から、コミュニティバス運行の取り組みとその効果は、運行形態の見直しや適切な事業評価により未だ改善の余地があると考えられる。

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