抄録
納豆菌(Bacillus subtilis natto)の耐熱性がジピコリン酸(DPA)含量に関係すること,また血液凝固系あるいは血小板凝集阻害の面からも注目されている(須見ら,農化,73:1289,1999;Ohsugi et al., Food Sci. Technol. Res., in press)。今回,同じ納豆菌の中でもDPA含量が大きく異なること,またその菌体内に強力な抗ピロリ菌活性が認められたので報告する。
納豆,テンペ,ハトムギテンペは市販品を使用した。納豆菌は食用である宮城野菌,成瀬菌,高橋菌,および外国菌(Unnan SL-001),薬用である日東薬品工業および目黒研究所より提供されたものを使用。DPA量はJanssenらの比色法(Science, 127:26, 1958)で,またMICテスト(石井,感染症学会誌,61:668,1987)を行った。
各種納豆菌を用いてDPAを測定した結果,含量の多いもので全乾燥重量の約3.6%も占めた。同じ培地polypeptone-Sを用いた振盪培養では日東が最も高く乾燥重量/g当り48.7mgであった。一方,グリセロール(3.0%)を加えた場合はその1/220,培地にNutrient brothを用いた場合はその約1/365の値であった。
抗ピロリ菌活性ではオカラ発酵物でかなり強い抑制効果が認められた。またエタノール抽出物(日東)はH.pylori Sydney株を強く抑制した(5%エタノール24時間培養で,107/mlから検出限界以下)。一方,メトロニダゾールのMICは1.95μg/mlであった。マウスへの強制投与実験でも両者は有意な抗ピロリ菌作用(p<0.001)を示した。