【目的】ローライズパンツは、最近若者を中心に利用されているが、その股上の浅さゆえに座位への動作により後ベルトが下方にずれ、下着が見えてしまうという問題がある。本研究では、パンツの股上丈、身体寸法、姿勢の違いによる適合性や動作適応性への影響などを着用実験により明らかにする目的で考察を試みた。
【方法】実験時期は2005年10月から11月、被験者は女子大学生20名。実験衣はサイズが9ARで股上丈が25cm・23cm・21cm・19cm・17cmの5種をシーチングで試作。官能評価は立位・椅座・蹲踞・床座姿勢時における適合性と立位から座位への動作適応性について、外観の評価は立位姿勢時におけるシルエットの評価について。動作による後ベルトの「ずれ」は三次元動作解析より算出。
【結果】 (1)各部位の適合性において股上丈の浅いパンツほど「ゆるい」と評価した。適合性と動作適応性において股上丈21cmのパンツを「合っている」「動きやすい」と評価した。
(2)腰囲・胴囲寸法が小さい者は股上丈が浅いほどシルエットが「わるい」と評価された。
(3)椅座姿勢と比較して床座・蹲踞姿勢で有意な「ずれ」が認められた。官能評価で「きつい」と評価される場合に「ずれ」が多く生じた。