一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
59回大会(2007年)
セッションID: H1-2
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有彩色光照明の視覚心理への影響
*井上 容子泊 美穂
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抄録

[目的] 照明技術が進み、LEDをはじめ多彩で効率の良い光源が提供され、「有彩色光」がこれからの照明光として積極的に利用されることが予測される。そこで、光色が視覚心理に及ぼす影響を検討し、色光を導入した新しい照明計画のための知見を整備する。 [方法] 5光色(三波長型の白・青・緑・黄・赤)×5照度(0.1~1800ルクス)の条件下で、印象評価(SD法)、視力測定、色識別、写真による人の見えの評価を行う。実験室(W2.7m×D2.7m×H2.6m)は光天井、内装白(反射率88_%_)であり、均一輝度空間である。被験者は若齢男女各8名、高齢男女各8名の計36名である。実験は光色別に実施し、被験者は前室(床面照度0.1ルクス)で10分間順応後、実験室(視標面0.1ルクス)に移動し、入室直後に印象評価を行う。その後、更に10分間順応して、一連の評価を行い、最後に再度、印象評価を行う。次いで、設定照度を変え、同様の測定を1800ルクスまで繰り返し行う。 [結果]各色光による視力の白光視力に対する比率は、低照度で赤光が高く、高照度では差が小さい。色の見えは全照度について白光が高い順位にあり、色光と同系色の識別率が低い。低照度では緑光の色識別率が低く、高照度では黄光が低い。人の見えも全般的に白光が良く、高齢者は低照度で緑光での見えが悪い。印象評価では若齢者、特に女性が光色の影響を受け易い。高齢者は高照度で色光による印象変化が見られる。活動性・寒暖性・力量性は赤光での評価が高く、安心感・快適性は白光、明るさ感・清澄感は青光での評価が高い。光色の影響は全般的に高照度より低照度において大きく、暗い空間の照明計画において色光の特徴が発揮されると考えられる。(H 18 年度社会安全研究財団研究助成金)

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© 2007 一般社団法人 日本家政学会
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