一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
59回大会(2007年)
セッションID: P-24
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クエン酸処理布のアンモニア消臭性能
大谷 恭子*谷田貝 麻美子
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抄録

《目的》 近年、非ホルムアルデヒド系DP(Durable Press)加工剤として実用化が期待されているもののひとつに、クエン酸がある。ここでは、クエン酸処理を施した各種繊維の織物について、DP加工の副次的効果として発現する消臭性能に着目し、生活環境中の代表的な悪臭物質であるアンモニアの吸着性を調べた。
《方法》 (1)クエン酸処理: セルロース系繊維4種、タンパク質系繊維2種の平織布を、60g/Lクエン酸水溶液(触媒としてホスフィン酸ナトリウムを添加)に浸漬し、予備乾燥の後150℃でキュアリングした。(2)消臭試験: 次の2つの方法で行った。検知管法: アンモニア標準液(28%アンモニア7.2mL/水100mL)5μLを注入した三角フラスコ内(初期ガス濃度105ppm)に、クエン酸処理または未処理試験片を密閉し、120min後のガス濃度を検知管で測定した。重量法: 絶乾後の試験片を28%アンモニアと共にデシケータ内に72h放置し、試験片の重量変化を測定した。
《結果》 検知管法では、未処理試験片と共存させた場合の120min後のアンモニア濃度は、セルロース系繊維で80~100ppm、タンパク質系繊維で20~40ppmであった。処理試験片と共存させると、繊維の種類によらず残存アンモニア濃度はほぼ0ppmとなった。重量法では、試験片の重量増から求めたアンモニア吸着量は、繊維の種類によらず処理布の方が未処理布より大きくなった。このように、2つの測定法より、クエン酸処理により各種繊維のアンモニア吸着能が向上することがわかった。クエン酸と繊維分子とのエステル架橋生成に与らないカルボキシル基にアンモニアが吸着するためと推測される。

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© 2007 一般社団法人 日本家政学会
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