抄録
1.目的
布の滑りやすさは衣服のスマートな着こなし、着脱しやすさ、摩擦による汚れ防止などのために重要な性質である。繊維素材の中で、レーヨン、キュプラ、ポリエステルなどはその滑りやすさから裏地として利用されることも多い。しかし、汗などをかきやすい環境下では裏地のまつわりつきで逆に着脱しにくくなることもある。そこで、今回十数種類の布を選び、布の素材、密度、織り組織及び湿度が布の摩擦係数に及ぼす影響を調べた。
2.実験
摩擦感テスター・KES-SEを用いて温度20±1℃、湿度65±5%で布の摩擦係数を測定した。測定する布はあらかじめ乾燥し、上記の条件下で4時間以上放置した布(乾燥状態)と100%湿潤させた布(湿潤状態)の両方の摩擦係数を測定した。
3.結果
乾燥状態では繊維の種類がレーヨン、ポリエステル、キュプラ、アセテートなどで摩擦係数が小さく、綿のそれは大きかった。また、ブロードよりは金巾やモスリンなどで大きく、糸密度が大きくなるにしたがって摩擦係数は小さくなった。
湿潤状態では摩擦係数はすべての布で乾燥状態に比べて大きくなった。繊維の種類ではレーヨン、キュプラの増加率が大きく、綿とほとんど変わらなかった。これに対してポリエステル、アセテートの摩擦係数の増加率は比較的小さかった。また、増加傾向は繊維の種類に依存し、織り組織、糸密度の影響は小さかった。湿潤状態ではレーヨン・キュプラはかなり滑りにくくなることがわかった。